九州電力株式会社(以下、九州電力)、株式会社インターネットイニシアティブ(以下、IIJ)、株式会社QTnet(以下、QTnet)、1FINITY株式会社(以下、1Finity)及び株式会社ノーチラス・テクノロジーズ(以下、ノーチラス・テクノロジーズ)は、九州における分散型デジタルインフラの構築・検証を目的とした実証プロジェクトを2025年10月から開始します。
本プロジェクトでは、政府が推進する「ワット・ビット連携」※1の考え方をもとに、九州の再エネを活用し、地域に分散したデータセンター(DC)を連携させることで、電力とIT処理の最適なバランスを目指します。
近年、AIやクラウドサービスの普及に伴いDC需要が増加するなか、DCの都市部への集中による電力需要の増加やDC用地不足などの課題が指摘されており、政府はこれに対し、脱炭素電源が豊富な地方へのDC誘導を進めています。※2
本プロジェクトでは、九州各地に小規模DCを設置し、光信号で通信する「APN(All-Photonics Network)」※3接続によって一つの大きなシステムとして機能させ、場所を意識せずデータの保管や処理を可能にします。また、ネットワークには従来の電気信号による通信ではなく、光信号を直接扱う光ネットワークインタフェースカード(以下、NIC)※4を使用し、光信号で分散DCを直結する世界初※5の試みを行います。加えて、光信号の直結により各種ネットワーク装置を減らすことで省電力化を図ります。
さらに、昼夜で発電状況が異なる地域のDCを柔軟に使い分けるため、AI処理に特化したGPUサーバを各DCに配置し、複数のDCに分散保存されたデータにアクセスしてAIなどの処理が可能な「分散データベース技術」の検証も行います。
今後は、これらの技術と九州の地産エネルギーを組み合わせ、「九州版ワット・ビット連携」の実現を目指します。
以 上
1 プロジェクト概要
期間 | 2025年10月~2026年3月 |
目的 | 1.ワット・ビット連携を実現するデジタル技術の検証 2. 分散デジタルインフラ技術を用いたAI処理と分散DBの有効性評価 |
実施内容 |
1. DC分散配置:九州の複数拠点(当初段階は2拠点)に、DC機能を分散配置します。 2. 分散DB技術検証:AI処理に分散DB技術(ノーチラス・テクノロジーズの「劔”Tsurugi”※6」)を採用し、処理性能や消費電力がどのように変化するかの検証を行います。 3. ローカルLLM/AI画像処理技術検証:リモート環境にあるGPUを使用してAI演算処理を行い、実効性の検証を行います。本検証にはTsurugiのMCP※7機能を利用し、自然言語によるデータ処理のシミュレーションを行います。 4. APN技術検証:分散DC間を低遅延に繋ぐためのAPN技術検証を実施し、従来型の通信技術との比較検証を行います。 <検証の実施イメージ> ![]() |
各社の役割 |
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2 プロジェクトの検証スコープと目指す世界

3 各社の概要
九州電力について
九電グループは、「ずっと先まで、明るくしたい。」をブランドメッセージとする「九電グループの思い」のもと、低廉で良質なエネルギーをお客さまにお届けすることを通じて、お客さまや地域社会の生活や経済活動を支えることを使命に、事業活動を進めています。安定供給を支える高信頼度の通信ネットワークや情報通信システムの維持運用で培った技術を活かし、ICTサービスを提供。社会のデジタル化推進需要の拡大を追い風に取組みを推進しています。 詳細はホームページ(https://www.kyuden.co.jp/)をご覧ください。
IIJについて
株式会社インターネットイニシアティブ(IIJ) は、1992年に設立され、1994年に国内初の本格的なインターネット接続サービスを開始しました。現在、IIJグループは約16,000社の国内外企業に対し、インターネット接続、クラウド、セキュリティに加え、IoTや動画配信、さらにシステム構築や運用アウトソーシングなど総合的なネットワーク・ソリューションを提供しています。また個人向け通信サービス「IIJmio」を展開しています。詳細はホームページ(https://www.iij.ad.jp/)をご覧ください。
QTnetについて
株式会社QTnetは、1987年に設立された九電グループの電気通信事業者です。九州一円に光ファイバ網14万kmを張り巡らせ、法人向けには「QT PRO」のサービスブランドで、ネットワーク、データセンター、クラウド、セキュリティ、生成AI等の統合的なICTソリューションを提供しています。また、個人向けに光インターネット「BBIQ」やモバイルサービス「QTモバイル」などを展開するほか、eスポーツ事業など多岐にわたる事業を進めています。詳細はホームページ(https://www.qtnet.co.jp/)をご覧ください。
1Finityについて
富士通グループ企業である1Finityは、グローバルプロバイダとして、通信事業者及びサービスプロバイダ向けに持続可能なデジタル変革ソリューションを提供しています。オープンネットワーク技術・知見を取り込んだ、ベストインクラスのハードウェア・ソフトウェア製品およびサービスにより、ネットワークのコスト削減、パフォーマンス向上、およびエネルギー効率の向上を実現します。また、お客様やエコシステムパートナーとの連携を通して、より良いネットワークの設計、構築、運用、保守サービスを提供し社会を繋ぎます。詳細は1Finityウェブサイト(https://1finity.co.jp/)をご覧ください。
ノーチラス・テクノロジーズについて
ノーチラス・テクノロジーズは、データベース技術・分散処理の製品を、主にOSSとして開発・提供している先端系ITベンダーです。次世代RDBであるTsurugiの開発・サポートを提供、また同様に分散処理ミドルウェアAsakusa/M3BPの開発・サポートも提供しています。また、お客様のご要望に応じて、同製品を利用したコンサルティング/システムインテグレーションを実施しています。詳細は、コーポレートサイト(https://www.nautilus-technologies.com/)をご覧ください。
報道関係お問い合わせ先
九州電力株式会社 地域共生本部 報道グループ
TEL:092-741-2516
株式会社インターネットイニシアティブ 広報部 太田、荒井
TEL:03-5205-6310 E-mail:press@iij.ad.jp
株式会社QTnet プロモーション推進部 広報・宣伝グループ
TEL:092-981-7773 E-mail : qt_press@qtnet.co.jp
1FINITY株式会社
お問い合わせフォーム
https://contactline.jp.fujitsu.com/customform/csque04802/873532
ノーチラス・テクノロジーズ 営業・マーケティング部 担当:野村
E-mail:contact@nautilus-technologies.com
WEB:https://form.k3r.jp/nautilus_1003/Tsurugidb_contact
※本プレスリリースに記載されている社名、サービス名などは、各社の商標あるいは登録商標です。
※1 電力(ワット)と情報通信(ビット)を連携させることで、AI活用、脱炭素、地域振興を同時に実現する構想
※2 デジタルインフラ整備計画2030 – 総務省:https://www.soumu.go.jp/main_content/001013976.pdf
※3 ネットワークから端末まで、電気信号を使わずに光信号のまま情報伝送を行う技術のこと。従来の伝送方式と比較して低消費電力で、大容量、低遅延の伝送を実現する。
※4 従来のDC間通信に使用されている光伝送装置とサーバ用NICを統合し、各DCにあるサーバ同士を光信号で直接接続可能なNIC。電気的な変換、プロトコル処理を省略することで、大幅な低遅延・大容量化を実現する。1Finityは、NEDO(国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構)によるプロジェクト「グリーンイノベーション基金事業/次世代デジタルインフラの構築/次世代グリーンデータセンター技術開発」[JPNP21029]の助成を受けている。
※5 2025年9月24日現在 1Finity調べ。
※6 劔”Tsurugi”は、 NEDO(国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構)によるプロジェクト「高効率・高速処理を可能とするAIチップ・次世代コンピューティングの技術開発」[P16007]の助成を受けている。
※7 MCP(Model Context Protocol):AIエージェントと外部システムを円滑につなぐための共通プロトコル。